e-Investor
line.gif (1925 バイト)
00/11/3(金) a ベンチャー市場の決定的欠陥

この半年間、各種メディアからコメントを求められていました。「ネット株はもうダメなんですか?」「マザーズは、ナスダックJはダメなんですか?」・・・。私の答はこうでした「値動きに〈投機〉する人はいても〈投資〉する人はいないでしょ?誰も今の株価を正当化出来ない、証券業者も投資家も」。情けないことに我々はベンチャー投資に相応しいインフラの整備に失敗したのです。そのことを認めない限りはこの先はないでしょう。そのことを認めた上で諸策を構じなければこの国の将来を託す「ベンチャー勃興」も暗いと言わざるを得ません。

(1)当該公開企業の問題〜成長戦略・ディスクロが無い〜
公開したはいいが、いきなり存亡の危機に陥ったり或は信認上の問題がある企業が少なからずある。リッキッドオーディオJ(暴力団絡み)メッツ(直販中止で大丈夫?)クレイフィッシュ(光通信リストラ)オンザエッジ(投資銀行ってどういうこと?)インターQ・ゼロ・DTI(プロバイダーで儲かるの?)スカイマーク・スカイパーフェクト(いつ黒字化するの?)・・・。兆円を越す時価総額を誇った企業もあったが「猫に小判」、買収やらアライアンスやらで爆発的にブレイク出来た企業はない。「株が交換通貨」という千載一遇の決定的チャンスを誰も活かせなかった、バブルを血肉化出来なかった。経営にスピード感もなければただの中小企業にも劣り、ベンチャーとは言えまい。そもそも出資を仰ぐというのは大変説得力の要る大変なこと、公開して同様の責任を以って自らの成長戦略を投資家に説明したのか?ほとんどの投資家は篤志家ではない。

(2)インフラ(取引所・市場・引受&取次証券)の問題〜常識が無い、モラルハザード〜
東証マザーズは「赤字でも上場OK」というのは画期的ながら、今期予想すら開示せずにどう適正株価をはじけというの、この先の成長見通しは?引受証券からは勿論、考えるベースとなるべき諸資料が決定的に不足している。「赤字会社はこう評価するとよい」投資教育もなくコンセンサスも全く出来なかった。一部の知恵者或はインサイダーの儲け逃げマーケットに未来はない。公募価格と著しく下離れた初値となった場合、主幹事証券は公募価格に責任を持たないのか?公募価格はVC(ベンチャーキャピタル)の出資価格に基づくことが多いようだが、それはVCの株価算定の無責任さを個人投資家にツケ回しただけではないか?IPO時の公募が抽選なんてあまりに無責任過ぎないか?公募価格の妥当性より当った外れたが関心事なんてそもそも投資とは言えない。常識全てが欠けている「誰も頼れない、信じるものは何もない」修羅場の中、投資家の「自己責任」に全て押しつけて涼しい顔では・・・こうなることはある意味当然。目先の投機家がババ抜きを繰り広げたなれの果てが今。証券業者の引受手数料が貰えれば十分、健全なベンチャーマーケットを育てよう意欲が全く感じられない。

(3)投資家の問題〜ベンチャー投資はハイリスク〜
結局誰も投資先企業の中長期の成長なんて期待して投資することはなかった。適正株価なんて発想は無く、高値で買ってより高く売れれば良い、目先それも超目先、「自分だけ値鞘が抜ければ良い、後は野となれ山となれ」。そもそもネットベンチャーなんて十中八九モノにならなず確率論的世界、街のデザイン事務所に公開企業はない。その分バクチ場にはうってつけなのだが・・・。ベンチャー投資には多産多死を認めた上での素封家的姿勢が求められる。

我々には結論が先に来る。「ベンチャー市場を振興し日本経済の成長を担う企業を輩出させなければならない」。落ちこぼれは知らないが見所のあるところはトコトン成長してもらう。その為の環境整備が周知を集めてなされなければならない。私利私欲を離れ大局からの関係各位の奮起を促したい。もうすぐマザーズ1周年。

ネットビジネスに関して言えばインターネット普及率が閾値を超え離陸期に入っています。ネットベンチャーバブルは先に破裂していますが、ネットビジネスは従来型のビジネスに置き換わり、或は新市場を創造しながらいよいよ当たり前のものとし受け入れられ飛躍してゆくでしょう。相場人としてはそのインフラの進歩とその上を走るビジネスの変遷・大競争に注意を払いたいと思っています。ネットが当たり前になる前に「ネット株」なんて表現はなくなるでしょう。ヤフー・楽天・AOLは広告・メディア・サービス、アマゾン・アスクルは流通、マネックス・Eトレードは証券業(当たり前ですが)へ区分けされるはず。ポータルだろうがコミュニティだろうがB2B・B2Cに拠らず結局何で利益を得ているかで広告とかサービスとか流通とか商社とかで括り直しがあるでしょう(トヨタがどれだけGazooを頑張ってもネット株とは言わないように)。要は個別淘汰・利益成長であって、それに沿う形で株価形成がなされて行くはずと考えます。

※同様に当ネット株投資研究会もIT株投資研究会に鞍替えしています。


00/4/30(日) a IT株投資は正しい

週間値上り率がソフトバンク52%、ベルシステム49%、オービック29%、Fsas23%ですか・・・相変わらず魅力的な変動性ですね。地獄と天国が紙一重、苦痛の先が甘美な世界。みんなが投げ切った処で底打ち反転というのは相場の常ながら、恐怖が支配する投げ売り市場でその思考停止の只中、冷静に「この値段なら買い」と向かうことの難しさ。やはりタフでなければ。

『インターネット・バブル』の邦訳が日本経済新聞社からようやく出ました。著者パーキンス氏は4/14のNASDAQ急落に際しこう述べています。「すべての市場関係者はこれまでの状況が椅子取りゲーム≠セったことを知っている。皆が輪になって手を振り音楽に合わせて陽気に踊っていたが、ここ3週間は音楽が止まった状態だ」「インターネットに投資するのは正しい。自動車や電力などに投資するのが正しかったように。しかし問題は、それまでの社会では考えられないような新しいものが創造されるたびに、米国民が行き過ぎた投資をしてしまうことだ。宝くじを買う時のように、素早く不労所得を得ようとする。いつの時代にもバブルははじける。われわれは多くの企業が倒産するのを目の当たりにしてきた。今回のことも時間の問題だったわけだ」(ブルンバーグより)

過剰なブームが「ネット長者」へ祭り上げ、今度は「ドットコム詐欺師」へ引き摺り下ろす。知恵の足りなかったのはベンチャー起業家か外野か、一体どっちだったんでしょう?適正に穏便に評価出来なければベンチャーは育ちません。ギラギラしててテメェの金儲けのことしか頭にない連中は論外(そういう輩は先の土地バブルの時同様六本木景気を盛り上げ、フェラーリを乗り回す以上のことはないでしょう)だが、地道にコツコツ日本のIT革命の騎士として志高く頑張っているベンチャーまで一緒くたでは無体無謀と言うものでしょう。

ネット株(IT株)投資は正しい。企業実体から乖離し過ぎた評価だった故、持続不能に陥っただけのこと。行き過ぎたネットバブルが破裂した今回の経験を経て、持続可能な真っ当な評価法を市場が学んで行くと信じたい。差当り決算発表シーズンインで「IT革命がどの程度個別企業の業績を押し上げるか」で見直しが進んで行こう。IT関連がやはり一番の成長セクターであると再認識させられることはほぼ間違いない。

ネットベンチャーブーム」をブームで終わらせないために」(BizIT)

国内ネット企業の底の浅さは構造的問題,エンジニア市場の形成が不可欠 (BizIT)

よくある質問(BizIT)

深化するビットバレー〜宴を終え、新世紀創造に動き出す

ソフトバンクがボディショップに投資(CNet)

インターネットビジネス 日本の展望(NEC)

PERをペイシェンス(投資家が耐える)収益率なんて言っているドットコム企業は,もう生き残れない(ZDNet)

今年度のIT投資、企業の43%が「増やす」(NikkeiNetIT)


00/4/23(日) a 次のステージへ

CSKの下方修正(2/28)、日立の下方修正記事(3/2)、富士通下方修正(3/17)、Fsas無免許工事(3/23)、ソフトバンク3000億円増資報道(3/24)、光通信営業赤字転落(3/30)、NTTデータ下方修正(3/31)、ソフトバンク赤字拡大(4/5)・・・光通信代理店倒産・ソフトバンク苦し紛れの1→3分割。NASDAQニューエコノミー銘柄崩落、悪夢のような3,4月であった。「IT革命なんだから夢を買う、オーバーバリューは当然」で世界が同時に酔いしれたのが、一気に現実に引き戻された。ネットベンチャーを見る目も一気に厳しくなって「黒字化への筋道、経営の質、技術的オリジナリティと競争優位性」を問うこととなった。

今回のIT大整理は過酷であったと思うが、とても合理的とは言えない高嶺まで登り詰めていた以上、崩落は不可避であったとも言える。誰もが高過ぎるのを分かってて降りられないチキンレース、みんな降りたらこんなものだった。方向感だけが頼りの投資家、時価の正当化と上値目標提示に忙しいアナリスト、たった過去1年の成功体験に縛られたファンドマネジャー、みんな反省を余儀なくされた。上昇過程では連日S高買い残し、下落過程では連日S安売り残し。何なんだ、このボラティリティは?常識外れの大相場は結局「極端に少ない浮動株を巡っての争奪戦」だったというイカサマにみんな気付いてしまったんではないだろうか。

しかし、当たり前のことだが、IT革命は終わらない。いや寧ろこれからなのだ。ネット株相場は「ネット株なら何でも」のファーストステージを悲劇的に終え、「高成長・高収益・勝ち残りへのリアリティ」を厳しく吟味しフェアバリューとの見合いで投資するセカンドステージに入る。よくある喩えで「ゴールドラッシュで勝ったのはリーバイス(ジーンズ)」と言われるが、IT革命の勝者が誰なのか、着実に稼いで行くのはどこなのかの見極めが肝心。現在勝ち組評価のヤフーや楽天ですら「これ以上集積が進んだらどうなる?」安逸を貪れる訳ではない。

従来型企業のネットシフトが進む中で「ネット株」という括りさへ無意味なものとなり、いつまでも特別視出来るものでもない。ネットは所詮メディア(手段)であって道具でありインフラであることからすれば、「ネットの翼」や「ネット株だから(超高成長!)」という呪術性は本来オカシイ。或は今回でネット株相場は終わって、後は従来型企業同様に製造/非製造、小売とかサービスとかのセクターの中に埋没し、「高成長なのかそうでないのか」で個別判断されて行くだけなのかも知れない。どちらにせよ要はIT革命で着実に利益を上げて行けるかどうかにかかっているようだ。

日本のベンチャー株価急落は「わい小な模倣」の露呈 (BizIT)

「ドットコムCEOは浅はかで単純」――Forresterのアナリストが酷評(ZDNet)

ネット販売業者、2001年末までに大半が廃業も−フォレスター調査(Hotwired)

ネット株は「バブル」か(Hotwired)

フォレスターリサーチ社のニュース検索(Hotwired)

一目で分かるビットバレー(月刊サイゾー)

Party is over:クラッシュ後のドットコム産業はどこへ行く(BizIT)


00/4/1(土) a ネット株投資のこれだけは

著名なアナリスト・証券会社引受部門員・証券ディーラー・公認会計士などの方々に「個人投資家が自力でネット株価を算出出来る方法は無いのですか?」と聞いた処、概ね現状では無理でしょうとのお答えでした(笑)。色々ご意見を頂きましたので、「これだけは押さえたい」考えるポイントをまとめてみました。

セクター 担い手 コメント 代表例
インフラ系 通信・放送・プロバイダ業
通信機器・端末などハード&ソフト
データセンター・ストレージ・配信
IT革命で最も確かなのはデータトラフィックの増大。「より速く、より多く」のテクノロジージャンプを繰り広げ、CATV・WDM・ADSL・無線・衛星・デジタル放送などアクセス路からPC・ケータイ・PDA・TVなど端末までが競う。 御三家はシスコ・サンマイクロ・オラクル。
NTT・ドコモなど通信キャリア各社・ジュピターテレなどCATV各社・IIJ・ソニー・富士通・NEC・CTC・大塚商会・Fsas・ネットワン・トレンド・セコム・スピードネット・東京めたりっく・IRI・アクセス
サポーター系 3K(広告・コンサル・公開支援引受) 今一番ネットバブルを謳歌する。 サイバーエージェント・ダブルクリック・オンザエッヂ・ソフトバンク・光通信・トランスコスモ・JAFCOなどVC各社・証券各社
ポータルサイト&C2C サーチエンジン・オークション・コミュニティ・メールサービスなど集客・広告がメーンなサイト、当然B2Cの入口狙う。 WWWは膨大なデータベースであり「サーチエンジン」がネット一番の成功例として君臨してきたが、モバイル進化で「電子カレンダー」脚光、ややポータル神話にも陰り。オークションは所詮フリマ・オンラインゲーム。 YAHOO・eBAY・AOL・ISIZE・@Nifty・Biglobe・So-net・まぐまぐ・デジタルアドベンチャー・PIM
B2B 商社・製造大企業一般 各社独自の取引先オンラインが業種別へ統合、仕入・販売が全業者参加型のオークション式になればデフレ圧力。従来の日本独自の商社機能がパブリックなオンライン化しただけとも。巨大な取り扱い額のシズルをすする。 アスクル
B2C オンライントレード&バンキング
ショッピングモール&物流
オンラインゲーム
コンテンツ配信
華々しく百花繚乱のサービスとダンピング合戦が繰り広げられていて大激戦。従来の対面・店舗・有人販売が無店舗インターネット通販となっただけ(それでもコストダウンは計り知れないが)なら大したことはない。ONE2ONEマーケティングの呪文は効くか? Amazon.com・楽天・逸品.com・コンビニ各社・ヤマト運輸(クロネコ探検隊&ブックサービス)・CCC・文教堂(J-Books)・PS.com・SonyStyle.com・EshoppingToys&Books・ローソンチケット・オートイバイテル・カーポイント・Gazoo・サイバード

(ネット株投資の留意事項)

(1)「事業の概況等に関する特別記載事項」(リスク情報)を熟読すること

(2)様々なメディアや会社説明会等で経営者の見解を入手すること

(3)ネット株と一括りにせず、インフラ/サービス/インキュベータ/など分類し競合企業との比較において「業態・収益モデル・顧客数・市場規模・リスク要因」を把握する。既存のネット外企業との収益力や時価総額比較も有効だろう

(4)ネットユーザーの立場を利して商品性・将来性を判断する

(5)利益もキャッシュフローも出ていないネット株は「何年後の売上でPSR(=株価/1株当り売上)を何倍と設定するか」がやはり尺度となる。公開ネット企業が増えるにつれPSRは有効になろう

(6)ネット株投資で最も手堅いのはインフラに絡むところでシスコ・サン・オラクルが基本。華々しいB2Cのサービス系は利幅は薄く優勝劣敗激しく泡沫ネットベンチャーが多い(「一発屋」に注意)上、既存ブランド企業の巻き返しも恐い。インキュベータ系は概ね保有株の時価と未公開株の評価に沿う分相場変動は大きいだろう。B2Bは取り扱い額はべらぼうに大きいが所詮「シズルをすする」系で現状の商社と大差なし。

(7)一時「コンセプト」を連発する輩に閉口したが、今やbitvalleyでは口を開けば「ビジネスモデル」。高学歴で米系コンサル会社を出て起業する例も多いようだが、美辞麗句に溢れた「これだけのユーザーを得、これだけの売上が上がるはずだ」が机上の空論か否か、よく考える必要がある。未公開で売上も微々たるもの(勿論赤字)なのにネットベンチャーと持ち上げられる為、「成功者」ぶってインタビュー対応に精を出す。規模を追えとは言わないまでも「経常利益で10億100億上げられるプランをお持ちですか?」。既公開企業の中には100億1000億の経常利益を上げながら低評価のまま捨て置かれる企業さえある。ベンチャー企業の魅力とは倍々ゲームで伸びる爆発力にある。マザーズ公開某社の公開前説明会で「ウチの株は上がる」と豪語した経営者がいたようだが、根拠の無い思い上がりほど恐いものはない。それと心配なのはベンチャーがサービス系ばかりで技術系が少ないことと米国の成功例のコピーに過ぎないこと。ニッポンオリジンで世界に勇躍するベンチャーよ出よ!あり溢れるお金とサポーターの中、主役不在が一番の気懸りだ。

ちょっと前の民主党ITシンポジウムでの伊藤穣一氏(インフォシーク会長)のコメントに「ネットベンチャーが続々と出現する現状は“ブーム”ではなく“革命”である」とあったが、同時に「投資家は株式売買でもうければいいが、新しい産業を作ろうとしている経営者にとってはたまらない」との嘆きも。熱過ぎるネット株ブームに警戒感を表明していたが、そのブームも沈静化してきて「訳も分からず踊り狂う」シーズンから「バリューを見極める」シーズンを迎えよう。このところのネット株の軟調はネットベンチャーの評価の仕方を問うものである。

反動恐いネット株バブル 慶應義塾大学大学院助教授・国領二郎氏

世界的なネット株のクラッシュ? テンプルトンの著名ファンドマネジャー

NET MILLIONAIRES インターネットで財をなした百万長者たち(ZDnet)

米インターネット株,短期間で激烈に選別進む (BizIT)


00/3/31(金) a ベンチャー投資のこれだけは

(ベンチャー投資の基本事項)

(1)一般的な投資家として「健全なベンチャー投資」とは運用資産の1割程度をあてるものであって、たとえ潰れても致命傷に至らない程度に留めるべき。その分野のプロたる?ベンチャーキャピタルでさえ「10社出資して2社公開できればオンの字」、個人投資家がこれに資産全額を注ぎ込むとか信用取引とかは端から「万馬券狙い」のようなものと心得るべき。

(2)NASDAQ公開のベンチャーさえ「15年保つモノは15%」と言われる。ヒット商品もある、ブーム到来もある、だがゴーイングコンサーンとして中長期存続出来るものは驚くほど少ない。つまり個人事業・中小企業からブレイクして中堅企業となり、その上更に大企業までになるというのは大方にとって見果てぬドリームである。何もないところから松下・ソニー・本田・京セラが成り上ったと考えるのは間違い。企業は所詮「人財」の協業如何であり、カリスマ経営者とギラギラした金欲だけでは持たない。一意専心にミッションを追求した者のみが生き残れるのであって、収奪的儲けやブーム便乗だけで乗切れるほど甘くはない。自由経済にあっては成長分野・過剰利潤を生む産業へは新規参入が相次いで大競争状態となり、淘汰がなされる。資本と人財に優位に立つ既存大企業・ブランド企業の「ビッグプッシュ」も想定すべきだろう。

(3)「ビッグプッシュ」で総力戦に陥ることを想定すればベンチャーの優位は意思決定のスピード・先端技術特化・コーディネート力(編集力)であろう。これからの金城湯地のデファクトスタンダードを取れるかどうか?その見定めがベンチャー投資の醍醐味である。


00/3/11(土) a 「考える」インフラ整備を

先週マザーズ3社の株価が半値になったと書いた途端、今度はネット株の両雄たるソフトバンク光通信が大下げに見舞われました。このわずか1ヶ月の間で高値からの下落率はソフトバンクで50%、光通信で61%に達するもの凄さ。1年でン十倍という大化けも常識外れのものでしたが、崩れも又強烈で、需給仕手株並みの訳の分からなさ。延々繰り広げた「上がるから買う、買うから上がる」が完全に逆流した観があります。共に時価総額も日本屈指で投信の組み入れも多く「半値になるにはでか過ぎる」存在、決着までは早そうですが、投資家一人一人に「だったら一体いくらが妥当なのか?」を厳しく問う機会になりそうです。尤も米ヤフー・AOL・アマゾンなども平気で半値になっていますので、そういうもんだとの認識も必要かもしれません。「ネット株なら濡れ手に粟」なんて感じたのが錯覚であって、実は「タフでなければ投資する資格はない」のかも(笑)。

hotwiredJAPANに「対談:木島真(まぐまぐ)×吉田正道(元東証マザーズ)」が出ています。マザーズ創設者の一人であった吉田氏が「(マザーズは)売りたい人、買いたい人のために、マーケット・サイドでの敷居を設けませんということだったんです。だから、『あなたたちは自分たちの判断で、きちっと売り買いできるようにしてくださいね』・・・」と語っています。東証マザーズには求めたいのは

(1)上場審査の際に提出されるであろう将来予測に関する資料の開示(成長の是非については市場参加者が行う)
(2)流動性向上(高額少数の新株発行ではなくて低額多数を、その為の商法上の単位株制度と株式分割後1株純資産5万円キープ規定の問題、また制限値幅(S高安)が流動性を無くしている問題かの解決)
(3)アナリストミーティング等による機関投資家と個人投資家の情報格差の是正と監視

あたりは最低でも。先日のリキッドオーディオの会社説明会pdfもUPされましたが。

相場の正常化健全化には十分な考える材料(情報開示)、健全な思考(投資教育やバリュー測定)、公平公正で透明度の高い市場が必要です。


00/3/4(土) a 『ビットバレーの鼓動』発売

日経BP社から『ビットバレーの鼓動〜渋谷から世界へ 若きeベンチャーが日本を救う』(著者・荒井久/定価1600円)が発売になりました。既に公開企業となったインターキュー・リキッドオーディオジャパン(LAJ)・インターネット総合研究所(IRI)をはじめ、間も無くブックビルディングの始まるサイバーエージェント、マザーズ・店頭公開を目指すオンザエッヂ・楽天なども紹介されています。ネットベンチャー投資の予習にどうぞ。右上は「ビットバレーの鼓動」HPへのリンクです。

ところで、ネット株高騰への警戒感からマザーズの3社の株価も軟調を余儀なくされています。(単位万円)

コード 銘柄 公募価格 初値 高値 安値 現在値
4740 LAJ 300 610 1221 484 715
4741 IRI 1170 5300 7741 4960 3960ウ気配
4744 メッツ 700 2200 2311 971 1050

わずか2ヶ月余の間に凡そ高値から半値になってる訳です。IRIは5日連続S安で値つかず。これをどう見るか?超目先の投資家が方向感だけを頼りに飛び乗り飛び降りしてるだけとも取れます。尤も新規公開株というのは短期的には人気だけ、中期的には居心地のいい水準を求めて上下動を繰り返し、長期的には利益成長に従うもので、マザーズに限ったことではないのですが。マザーズ3社には未だ「概ねいくら辺りが適当」という市場コンセンサスが出来てないようです。「一体いくらが適当なのか?」を問わない、値動きだけを売り買いする株式相場はギャンブルに近いババ抜きみたいなもの。市場参加者はそれこそ株価算出能力が問われている訳です。

昔、特則銘柄というのがありました。店頭のATL(96年12月)・アクモス(96年12月)・マスターネット(97年12月)、大証のLSIカード(97年3月)がそれです。それを作った理由もベンチャー市場を!という今同様のことだったのですが、全体相場の軟調もあっていずれも98年12月にブレイク(店頭/小型株ブーム到来と店頭マーケットメイク導入、ヤフー・光通信などネット株相場スタート)するまでは1-2年の低迷を余儀なくされてました。株価はブレイクしたもののマスターネットを除いては見るべき利益を上げていません。特則市場は通常の市場に吸収された後、ベンチャー市場として東証マザーズ・大証新市場が創設され、札証アンビシャス・福岡ベンチャー市場・ナスダックジャパンが設立準備中とベンチャー企業の受け皿整備は進んで来ています。されど投資家のベンチャー投資への理解を置き去りにしたままでは心許ない限りです。

先日「ベンチャーバブル,危うい岐路」という記事が出てました。ネットベンチャー起業家の間でも「ネットバブルと一緒に弾けない強靭な企業体質を!」との声が上がっています。投資家ももう少し慎重になるべきです。少なくともベンチャーをギャンブルの対象とだけ見るのは間違っています。ベンチャーを育て成功の果実を一緒に得るエンゼルシップと中長期的な視点が欠かせません。これは難問です。ベンチャー投資は日本の資本主義や投資家のチャレンジで、これからの産業勃興への加勢、新時代作りへの参加なのです。怒涛のように押し寄せそして一気に去って行く短期資金が成長の芽を摘むのはマレーシアに限らず害悪です。


00/2/27(日) a Nobody knows

ネットワークがその「相互編集性」で既存のビジネスをより効率化してゆくのは必至と見られます。(「相互編集の破壊力」についてはLinuxや楽天をイメージすると良いのではないでしょうか。)企業体は資本・労働・設備・原材料部品などのベストな編集でより効率良く財・サービスを産み出して行くでしょうし、生産者・サービス業者と消費者の直結編集では究極の受注生産あるいは同時生産も可能かも知れません。卸や小売など中間業者はその存在価値を根本的に問われ、一段と生産者か消費者の側に踏み込んでソリューションを提供するプロ化して行かざるをえません(コンビニは消費者の24時間必需品・ソリューションプロバイダですね)。生産体系も生産-消費の関係もヒエラルキーからよりフラットな(オークション的?)ものとなり、しかも俊敏性・同時性を発揮していくでしょう。中間業者と見込み生産の排除で経済全体としてはデフレ化と省エネ省資源化が進むのでしょうか。勿論、大企業内のピラミッド型情報ヒエラルキーも瓦解して、中間管理職一掃で固定費削減コストダウンも当然ですね。

高度ネットワーク化社会では優秀な個人や斬新なアイデアに資金や情報や才能が集まります。言わば「優秀な頭脳をネットワークが放って置かない」のです。(限りある人類の英知の有効活用、枯渇する地球資源と行き着いた感のある過剰消費社会いうことを考え合わせるとなかなか意味深いものがありますが、)これは第二第三のビル・ゲーツを生まんとするネットワークの力です。突出するカリスマに時代を切り拓かせ社会のブレイクスルーを!というネットワークの意思でしょうか(孫正義もその一人のようです)。

これまでの当たり前がガラリと変わっていく・・・ネットワークが新しく塗り替えて行く訳です。隅々までネットワーク化が行き渡った姿というものをちょっと想像出来ません。IT革命という壮大な実験はまだ緒についたばかりなのに、「誰が勝者で誰が敗者か?」なんて言えっこありません。勿論、株式市場だって知りませんよ、そんなこと(笑)。せいぜい「今の延長で行くとここ数年ドコモ・ソフトバンク・光通信・CTC・トランスコスモス・Fsas辺りは比較優位なんじゃないか?」程度の認識ではないでしょうか。ただ、現在の「利益」より将来利益を生むであろう「投資」「事業戦略」を重視しているのは考え方として間違ってないような気がします。尤も「どの程度評価するか?」についてはそれが分からないから市場に委ねられてるとも言える訳で、多くの市場参加者が決めた値段がその時点の適正価格というのが市場主義の基本です。(勿論、市場はしょっちゅう間違うものです。但しその間違いの修正もビルトインされてます。)


00/2/19(土) a 「ネット株投資研究会」結成へ

ネット株が凄まじいパフォーマンスを記録するにつれ、ネット株バッシングも激しくなってきたようです。ついこの間大手経済誌が相次いで「ネットバブル」を指弾するような記事を出しましたが、相場の方は全然意に関した風も無く上げ続けています。ヤフーが17日連続S高で1.5億円を突破、IRIが一時時価総額1兆円、LAJが1000万円乗せ・・・。ネット株1株に欲しい人100人が殺到して取り合ってるような風景です。株価の騰落の問題ではなくて、「これでまともな株価形成か?」些か疑念を感じてしまいます。そして「これがいつまでも続くのか?」・・・と。

現在世間には「ネット株は儲かる」という経験則と「ネット株はバブル(に違いない、そうあって欲しい)」という妬みしかないような気がしています。みんなが何をどう考えたらいいか悩んでいます。立ち尽くして「乗るか、反るか」の決断を迫られています。ネット株をめぐる健全な議論がもっとあってしかるべきなのです。とりわけネット株投資は「これからの飛躍」を先取りする形になりますんで、既存大企業への投資と比べ格段に未知の部分が大きい訳です。ましてやネットの世界は全てが「思考スピード」で展開されますのでアイデア一つの多産多死、しかもベースは激しいテクノロジージャンプを繰り返しています。あれやこれや考える材料がなければ自己判断出来ませんし、そんな状況では本来の自己責任すら全うし得ません。

そこで「ネット株投資研究会(略称ネッ研)」を立ち上げようと思います。ここでは儲かる儲からん以前に、個別銘柄・業界研究を踏まえて冷静かつ健全な議論をHP上で展開してゆきたいと考えています。自称「ネットの世界に明るい」研究員を公募します。また同時にあなたの研究成果・情報の投稿も大歓迎します。弁之助まで是非メールを。衆知を集めよりよいコーナーにしてゆけるといいですね。コーナー名は願いを込めて「e-investor」としました。更新は不定期です。

ところでこの記事ご覧になりました?「株価急下落、正念場迎えた米ネット企業」 日本のネット株相場はまだ1年を経た程度、本格的な調整を経験していません。熱狂が冷めれば「ネット株なら何でも!」なんて言ってられなくなります。米国の先例に習うところは多いのでしょう。


ホームへ

ビットバレーの鼓動
モバイルインターネットの鼓動(日経BP社)

cnet

zdnet

BizTech
記者の目
IT Pro

NikkeiNet(IT)

ImpressWatch

情報通信サイバーアクセス

アメリカ情報通信

NetryLink

hotwired

ICR

eM(R&D)

Inter@ctive
Investor

東証マザーズ

マザーズ上場予備軍(TDB)

筆者
IT株投資研究会

 

コーナー説明
ネット株について色々考える全員参加型コーナー。自由な投稿をお待ちしています。(個別銘柄の推奨等は一切しません。)

 

BackNumber
99年12月