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98/11/29(日) a 世界に冠たる日本のゲーム産業

ico_hand.gif (123 バイト)このコーナーをはじめて何か日本の悪口ばかり書いてきた気がする、何も好んで自らの国の悪口を探した訳では無いんだけれど、どうも悪いところばかりに目が行ってしまっていた。そこで今回は日本が世界に誇れる数少ない業種であるゲーム産業について考えてみたい。

日本のゲーム産業も任天堂の一人勝ち時代から、群雄割拠時代、ソニーの一人勝ち時代を経て次のステージを迎えようとしている。ゲーム草創期には任天堂と米アタリ社との特許紛争などトラブルがあったものの、半導体のキルビー特許など基本特許で常に米国に隷属する形の多い日本の産業界の中で海外技術を取り込みながらも自らが主導権を握っている数少ない産業なのだ。

以前は成長産業と見られていたゲーム産業もセガサターンの頓挫や国内の普及一巡に伴い成熟産業となりつつあり、高PERが当たり前だったソフト業界もすっかり水準が変わってしまった。確かに機械の性能が大幅に向上した一方でその機能をフルに発揮するソフトは殆ど無く、売れ筋のソフトはファイナル・ファンタジー、ドラゴン・クエスト、バーチャ・ファイターや今年話題のゼルダの伝説など一連のシリーズ物に偏っており、任天堂もポケモンの神風が吹かなければジリ貧となっていたかも知れない。ゲーム業界はソフトの当り外れによって業績が大きく左右されるなど大きなリスクを孕んでいるのは避けがたい事実だし、逆にハードの普及率がかなりの高水準に達している事も事実である。

しかしながら、自動車や家電など輸出過多が他国の批判を浴びた産業と異なり他国に大手の競争相手の無いゲーム業界は殆ど唯一と言える産業と言える。米国にもエレクトロニック・アーツやアクレイムなどゲーム・ソフト大手はあるものの、ハードに関しては任天堂、セガ、ソニーの三強に代表される日本企業が世界をほぼ制覇している。リスクは大きいものの世界をリードする日本のゲーム業界、世紀の愚策である商品券ばら撒き構想も子供を対象にしたことでゲーム業界にとっては少しは追い風になるかもしれない、頑張れ湯川専務、だけじゃ無くて、ニッポンのゲーム産業。


98/11/24(火) a 野球とベースボール

ico_hand.gif (123 バイト)『菊とバット』などで良く知られるようにアメリカ人にとって自国で行われているベース・ボールと日本で行われている野球とは似て非なるものであるらしい。ヤンキースファンで阪神マニアである小生にとっても同感であり、今回の日米野球で改めてこの事実を実感したプロ野球ファンも多いはずだ。もっとも、ワールド・シリーズを冠する王者決定戦を見るまでも無く米国にとって国技とも言えるMLBと比較し日本のプロ野球を語るのは無理があるかも知れないし、実際この場で日本のプロ野球の悪口を言う気も無い、私が言いたいのはこうした力差の背景にある両国のスポーツ・ビジネス事情なのだ。

ワールド・シリーズ圧勝劇の興奮も覚めやらぬ内にヤンキース買収ニュースが飛び込んできた、悪漢スタインブレナーが優勝で価値の上がったチームを売り場と見てヤンキース中継でお馴染みMSGの親会社であるケーブルビジョン社に売却を決定したもので、MLBチーム売却額としては過去最高の約6億jに上った。今オフには昨年のワールドチャンプ、フロリダ・マーリンズも買収されており、不振チーム中心の買収劇しか見たことの無い日本のプロ野球ファンにとっては信じられないドライな買収劇と写ったことだろう。

しかし米国のプロ・スポーツ界は巨大メディアの資金力を背景とした買収劇に代表される様に完全にビジネスの一環としてその役割を担っている。昨年最後の個人オーナー球団であったドジャースがメディア王マードック率いるフォックスの傘下入りしたのに続くヤンキースのケーブルビジョン傘下入りはソフトウエアとしてのMLB価値を再認識させるとともに、ディズニー(ABC/ESPN)のエンジェルス、ターナー・ブロードキャスト(CNN)のブレーブスなどとそのそのソフトとしての価値を競うこととなった。

もちろんこうしたソフトとしての価値を競うチームがある反面、チームそのものの収益を糧にチーム運営をしているチームもある訳で、株式を公開するインディアンズなどMLBチームは勿論、日本の二軍に相当するAA、AAAでも独立採算となっているチームもあるらしい。ようするに日本のプロ野球ではウサギ印のチームなどごく一部を除き親会社の広告媒体となる代わりに赤字を補填してもらっているチームと異なり純粋に野球だけで収益を挙げているチームも多いのだ。

こうしたチームの経営を見ていると何の努力もしないまま自チームを解散してしまうJリーグなど日本のプロ・スポーツに対する考え方や、経営力の無さは余りに情けない。また、チームの運営を見てもプロ野球の場合、日ハム上田監督などを除き現役時代のスターを据えるだけで真の指導者を育てようとする努力が全く見られない。一方、MLBの場合元スターであった監督は殆ど皆無、名監督と言われる人の多くが監督やコーチとして素質を発揮した人たちであった。こうした人材の使い方は日米企業の人事にも反映されており、例えば日本の証券会社の場合、手数料を多く挙げた人が偉くなり、果ては経営者になる。一方、米国の場合、手数料を多く稼ぐ人は収入を多くもらいセールスのトップとなるが必ずしも経営者には成らず、経営者には経営のプロがなる事が多い。名選手必ずしも名監督とはならずとは昔から良く言われる事だが、日本の経営者にはプロ野球同様あまりに過去の名声で生きている人が多すぎる気がする。


98/11/14(土) a 甘い話なんてある訳ない

ico_hand.gif (123 バイト)この前新着メールを見ていたら変な金儲けのメールが入っていた、最初にスグにごみ箱に入れずに一度読んでみて下さいと書いてあったので、迷う事無くゴミ箱に入れてやった。また、先週新聞の折込広告で、『円建て元本保証で4.5%以上』と言うような投信広告らしいものが入っていた。どちらも実際に儲かるものかも知れないが私はどうもこうした所謂うまい話が全く信じられない。昔からこうした儲け話に絡む詐欺事件は後を絶たない、お年寄りから無理やりお金を取り上げるようなやり方をした豊田商事事件や、警察に告発されたあとも参加者が騙されつづけていたKKC事件などは未だ記憶に新しい。

こうした経済詐欺事件を見ていると多くの場合被害者側にも非があると思われる場合が非常に多い。確かに騙す奴が悪いし、こうした人間を許すことは出来ない、だが同様にこうした奴らにあっさり騙されてしまう被害者たちの愚かさも私には理解出来ないものがある。何も分らないお年寄りから無理やりお金を奪い取るようなケースを別にして、被害者側にも安易に金を儲けようとの下心があり、そこに付き入られて結局は金を巻き上げられてしまう事が多いからだ。大金を手に入れたいと思う気持ちが悪いものだとは決して思わない、しかし世の中そんなに甘い話なんかある訳ないのに、やすやすと騙されてしまうのは余りに情けなさすぎる。

お金儲けは難しい、株式市場で儲けるにも、競馬で儲けるにも、全てにおいて金儲けは努力無くしては出来ません。騙す奴は悪いけど、騙される方に隙が無ければ騙される恐れもありません、魚心あれば水心あり、甘い話には引っ掛からずに地道に株で儲けましょう。

(弁之助注記)我々の処へも「(儲かる)確度の高い情報を!」って要求が来るんです。こういう人は「言われた通りに売り買いして儲けたい」だけなんですね。当てれば神様、外せば金返せ・・・全く勘違いなさってる。人の頭で儲けてもそれはフロック、いずれ返すことになるだけなのに。自分で相場に勝つノウハウを積み上げないと相場から追い出されるだけ。金欲ばかり強くて勉強もしない人が投資家がいつまでもいられる程相場は甘くない。勉強が嫌なら株なんてやらないことです。カモられるだけですから。株は相当に知的なゲームでもある訳で、その儲けは「頭脳所得+我慢料」です。世の「株=不労所得=悪」の短絡的思考は我々の対極にあります。


98/11/10(火) a ヘッジファンド

ico_hand.gif (123 バイト)LTCMの破綻や、アジア金融危機における批判で『ヘッジ・ファンド』全体がすっかり悪役になってしまった感がある。実際幾つかのファンドは破綻の危機に瀕し、その投資家に多大な損害を与えているのも事実である。しかしながら、多くのファンドは未だ健在であり、新聞等で紹介されているようにロシア危機やエマージング市場の崩壊での損失にもかかわらず年初からはプラスを維持しているファンドが多数あるのもまた事実なのだ。ヘッジファンドと言うと多くの投資家が想像するのはジョージ・ソロス率いるクァンタム・ファンドやジュリアン・ロバートソンのタイガー・ファンドなど巨額資金を動かすヘッジ・ファンドであろう。だが時には悪役となるこうしたグローバル・マクロと言われる巨額資金を使ったファンドは数多いヘッジ・ファンドの一種に過ぎない。

今回のLTCM事件をきっかけにヘッジ・ファンド、イコール投機的みたいな誤解が生じてしまったが、この前401(k)のところに書いた様に、年金としても適格で安全なヘッジ・ファンドも数多くある訳で、ここではこうしたヘッジ・ファンドへの誤解を解くためにもヘッジ・ファンドのごく簡単な説明をしてみたい。まずはタイガーやクァンタムでお馴染みグローバル・マクロ、これは国家レベルの経済格差などを利用し割高な国の債券、株、為替などをショート、ファンダメンタルの強い国をロングにするなど巨額資金を活用し経済の歪みを巧みに使った運用をしている。こうした運用手法は時に基盤の弱いエマージング市場などを混乱に陥れることもあり、今回のアジア経済危機においてもその存在をマレーシアのマハティール首相などから目の仇にされてしまった。グローバル・マクロの場合、そのファンド性格上どうしても資金規模が大きくないと運用が難しい反面、大きく成り過ぎると自らの動きで世界経済のバランスを崩してしまうなど問題点も多い。また、投資家層もどうしても大口中心にならざるを得ないが、米系の証券会社などでは自社でまとめて投資し、100万j程度の小口に分割して再販を行っている場合もあるようだ。

こうしたリバリッジを効かしリスクを最大限にとってパフォーマンス向上を図るグローバル・マクロの対極に位置するのが『リスク・ニュートラル』と呼ばれるファンドだ。このファンドはグローバル・マクロがギアリングを高める為にデリバティブを駆使するのに対し、リスクを限りなく軽減し一定の運用成績を確保する為に使うファンドで、安全指向の強い投資家向きと言える。そのほか、M&Aなどのイベントをきっかけとする収益の伸びに期待して集中的に投資する『イベント・ドリブン』、フェアバリューに対し割安な銘柄に投資し収益効果を高める『ディストレスト』、逆に割高と思われる銘柄や市場を売り叩くことで収益を挙げる『ショート』、PCや過去データなどを駆使しシステム的に運用される『クォンツ』などが代表的なものと言える。

昔はこうしたファンドの多くがプライベート・ファンドとして運用され、一般の投資家が購入するのが難しい時期もあったが、今はこうしたファンドを小口化したり、ファンドを組合せたファンズ・オブ・ファンズなどもあり投資機会が広がっている、皆さんも機会があればこうしたファンドにぜひ投資してみてはいかがですか。


98/11/8(日) a 401(k)期待と不安と

ico_hand.gif (123 バイト)HP『新世紀への視点』の中で藤沢氏が確定拠出型年金制度導入への期待を書かれている。私自身も同制度導入への期待は非常に大きいものがある、だが一方で大きな不安がある。その大きな不安とは先日当欄でも取り上げた投資信託への不安である。米国で401(k)と呼ばれる年金プランがこれほど広く普及し、成功を収めたのは勿論税金繰り延べ効果や雇用面での優位性、雇用者サイドでのコスト・メリットなど制度そのものの要因があります。しかし、一方で年金加入者を魅了する数多くの投資対象商品があったことも見逃せません、そしてその中でも最も投資家にとって魅力的な商品が投資信託であったのは間違い無いでしょう。

米国では独立した投資顧問会社が広く資金を集めて運用、それをまた独立した第三者である評価会社が一般大衆にその投信の成績を公平に評価した上で公表、一般投資家はこうした情報を参考に投資顧問会社から直接買うか、取り扱い証券会社から購入するのが一般的な投資の方法である。購入した投信の運用情報は運用会社のHPで入手可能なほか、多数の専門情報誌からも入手可能で、情報誌の中にはフィディリティ専門で収益を挙げている所もあるくらい投資家によって活用されている。401(k)プランの場合運用方法など適格投信が決まっているため全ての投信がプランを通じて購入できる訳ではないが、プラン加入者はヘッジ・ファンドなどを含む多くのファンドから自分の投資スタンスにあった投信を自由に選択、自分の相場観を反映し投資ファンド(もちろん投信以外の預金や保険などの商品も含めて)を入れ替える事も年4回の決められた時期に可能となっている。

一方、日本では預かり資産上位の投信運用会社の殆どが証券会社系列である、現在は業際問題もあり親会社からの独立性は高まったものの、今でも実際の販売は殆ど親会社に頼っているのが現状だ。かたや販売する証券会社の方も昔と違い自社系列投信の販売だけでは食っていけなくなったこともあり、外資系投信会社の商品も取り扱うようになって来たもののその殆どが当該証券会社専用ファンドでファンド当りの設定額も数百億が限度となっている。投信のパフォーマンスを評価する第三者機関も米モーニング・スターが日本に参入するなど徐々に整備されつつあるものの、肝心の投信会社サイドの情報開示体制はお粗末なままで、日経新聞などの記事も稚拙な内容の物が多いのが現状だ。

自分達の運用成績に対する信託報酬、成功報酬で食っている米国の投資顧問会社に対し、親会社の販売力に頼り、プロのファンドマネージャーの殆どいない日本の運用会社の現状を見ると年金制度に耐え得る投信がすぐに出来るとは思えない。せっかく確定拠出型年金制度を導入しても中身が無ければとても機能し得ないだろう、外見だけは立派でも中身の無い『張子の虎』に終わらないように願いたいものだ


98/11/4(水) a 栄枯盛衰インターネット関連

ico_hand.gif (123 バイト)のページの読者はとっくにご存知だと思うが、米国で発表されている株価指数の一つにインターネット関連の株を集めたインタラクティブ・ウイーク・インターネット指数と言うのがある。この指数はアメリカン証券取引所と『インタラクティブ・ウイーク・ニュースマガジン』の協力によって作成された物で、指数を対象とするオプションがアメリカン証券取引所で取引されている。日本でもインターネットが世間一般の話題になりだした1995年に構成銘柄37で算出が開始され、現在は50までその対象銘柄を増加させている。指数そのものは1995815日を200として算出開始、インターネット関連株ブームに乗り今年721日には高値269.44を記録、その後急落場面もあったが先週末には400近辺水準で推移している。

このように一見順調に見えるインターネット関連銘柄の動きだが、実際にその構成銘柄の推移を見るとインターネット関連が如何に消長の激しい業界であるかを如実に示しており非常に面白い。算出開始当時の構成メンバー間の合併、買収はもとより無くなってしまった銘柄が多い反面、開始時にはその骨格さえ定まっていなかった会社が今では指数の時価総額ウエイトで上位を占めるまでに急成長、この前ダウ100年でGEだけがその地位を留めていると書いたがインターネットで100年後にもその地位を維持する企業は存在するのだろうか。

個別で見ると、開始時からそのトップの地位を維持しているがシスコ・システムズ、開始時時から順調にその地位を伸ばして、現在は第二位のアメリカ・オンライン、開始時にはまだそのメンバーですらなっかたヤフーは第五位、アマゾンは第八位まで上昇する急成長、これらの銘柄は指数の中の勝ち組みと言えよう。一方、開始時は親会社のH&Rブロックの一部門ながらオンライン・サービスでトップだったコンピュサーブは後進のアメリカ・オンラインの傘下となり実質消滅、一時は一世を風靡したネットスケープサイバーキャッシュも今は冴えない日々を送るに過ぎない。開始時にはUUネットネットコムなど数社を送り出したプロバイダーに至っては全滅となってしまった。

実態社会の10倍以上で変化(進化とは必ずしも言えない)するネット社会で長期に渡って生き残るのは至難の技である、次世代インターネットも始まる次の3年ではいったいどうした変化が起こるのだろう、3年後にはマイクロソフトもインテルも既にこの世に無いかも知れない、ネット社会とはそんなもののような気がする。


98/11/1(日) a 不思議の国ニッポン

ico_hand.gif (123 バイト)海外勤務時代の主な仕事は日本株の現地投資家への売りこみだった。香港では機関投資家なみの資金を持った個人投資家を狙ってのものもあったが、それ以外のNYなどでは日本株を組入れている年金やファンドなど機関投資家に向けた営業で、小売よりも卸売りと言った感じの仕事が中心だった。尤も卸売りとは言うものの、顧客はあくまで最終投資家であり、彼らは買った株を転売する事は無い。香港を除き個人投資家は日本株が組入れられた投資信託を通じて日本株に投資するのが殆どで、同業他社の海外現地法人でも個人相手の商売は殆ど無かった。また、地元の証券会社で日本株を扱っている所は殆ど無く、地元個人投資家が直接外国の株式に投資するようなことは通常レベルの投資家では皆無に等しかったようだ。

ところが、日本では中堅以上の殆どの証券会社で日本株以外の株、即ち外国の株式を取り扱い、また、多くの個人投資家がそうした外国の株式に直接投資を実施している。個人貯蓄率で世界最高を誇る日本らしい事実とも言えるが、実際には投資家も証券会社も日本に比べて遥かに水準が高く、自己責任も徹底している米国の投資家でさえ手を出さない外国の個別株式にまで日本人は盛んに投資の手を伸ばしているようだ。バブルの時期、日本の証券会社は競って日本株の輸出に励んで来た、一方同時期に日本市場に参入した多くの米国証券は逆に日本株の情報を取得し自国の投資家に送る、逆に輸入業務に励んでいた。

それがバブル崩壊後になって日本株一辺倒だった日系証券は輸出だけでは食えなくなり、付け焼刃の輸入業務に力を入れ出した。一方、日本に進出している多くの外資系証券は自国の市場好調から輸出業務にも力を入れ出したものの、小売分野は日系に任せ大口機関投資家や日系証券を相手に商売をしている様だ。こう言う状況だから、実際に日本の個人投資家が得られる外国株の情報は二次、三次情報がどうしても多くなり投資上の不利は免れない。

グローバル投資と言う観点からすると、こうした日本の個人投資家の投資行動は一見個別日本株などに投資しない米国の個人投資家に比べて進歩している様に見える。ところが、実際は全く逆なのだ。米国の個人投資家は何故日本株に直接投資をしないのだろうか、それは彼らが情報リスクなどを負う必要が無いくらい多様な投資信託が何時でも買えるからに他ならない。要するに買えないのでは無く、買う必要が全く無いのだ。それに比べ貯蓄率は高いものの、有効で公正な投資手段を持たない日本の個人投資家は為替コストやリスクで投資効率の悪い個別株投資がグローバル投資の中心とならざるを得ない。色々な分野で投資のプロ不在が続く日本の証券市場だが、投資信託部門の遅れは特にひどく、証券会社系列の投資信託会社が未だに最も多く、フィディリティなど独立した投資のプロが運用するファンドは皆無と言って良い。こんなに投資意欲の強い個人投資家が多いのに、日本と言う国は本当に不思議な国だ。


98/10/27(火) a M&A

ico_hand.gif (123 バイト)週末の日経に扱いは小さいが非常に気になる記事が載っていた。米国会計基準審議会が、米企業の合併・買収に際する会計処理基準を来春めどに強化すると言うもので、具体的には@無形資産の償却をほぼすべてに義務付けるAその償却期間を従来の半分の20年に短縮する、との内容であった。

この内容自体はかなり以前から噂に上っていた内容で驚くべきものでは無い。しかし、最近まで続いていた米国企業による大型M&Aラッシュもこれで沈静化する事は間違いなさそうだ。実際、過去数年に渡って続いていたM&Aブームも逆に言えばこの会計基準強化実施を睨み駆け込み的な合併交渉もあったようで、こうした背景がシティトラベラーコンパックDECなどの大型合併を決断させる要因ともなったと見られる。

米国株式市場の堅調は企業業績の好調をその主要因に挙げることができるが、需給面では大型自社株買いと企業合併による株式数の減少による面も非常に大きかったと言える。業績水準は引き続き高水準を維持してはいるものの、伸び率の低下は否定できず、全体的に事前予想を上回った第V・四半期決算ではあったが、前年同期と比較すると冴えないものとなった。自社株買いに関しては引き続き活発な状況が続いているが、元来自社株買いは、新規投資を実施したり他の事業に投資するよりも資本効率が良いと判断する局面で実施するものであり、また成熟期に入った企業が実施するもので、成長企業が実施するもではない。

このように今までのブル相場を支えてきた幾つかの要因に翳りが見えるなか、その要因の一つであったM&Aに対する課税強化は実施前の駆け込みを狙った新たな駆け込み大型合併を招くのか、それともかってない大型合併ブームの終焉を招くことになるのか、また、そのブーム終焉はブル相場の終焉をも、もたらすことになるのか非常に興味深いニュースであった。


98/10/25(日) a 信じていたのに

ico_hand.gif (123 バイト)今年は公認会計士制度が出来て50周年に当るらしく、日本公認会計士協会が最近になって、新聞やテレビで盛んに意見広告を出しその存在をアピールしている。こうしたキャンペーンの最中、『三田工業』の粉飾決算に絡んで同社の外部監査を担当していた公認会計士が33年振りとなる行政処分を受けるとの記事が出ていた。株主に対し十分な情報が開示されているとは言いにくい日本では、一般投資家にとって公認会計士の監査を受けた一連の決算資料が唯一の投資判断材料となる場合が多い。

ico_hand.gif (123 バイト)過去の倒産に絡む粉飾決算でも幾度か当該企業の監査法人に対する責任問題が浮上したことがあった。ただ、実際には会社側の提供する資料からは決算の不正を見抜くのに十分な資料が提供されていないなどの理由から実際に行政処分等の責任を問われることは1965年の山陽特殊鋼事件に遡るまで無かったのだ。監査法人にとって企業の監査を実施するのは大きな収入源である、それだけに顧客である企業に対し確たる証拠が無い場合には決算内容に対し不適切であるとの指摘をするのは難しい事なのかも知れない。だが、こうした現状は当然本来の監査法人と企業の正しい関係では無い、監査法人は企業に対してもっと独立し、より投資家サイドに立った公正な監査を実施するのがその本来の役割であるはずだ。

ico_hand.gif (123 バイト)粉飾決算が発覚時の監査法人のコメントを見ると、会社からの情報では問題が発見出来なかった旨の発言が多く見られる。だが、実際に粉飾を見つけるのは不可能なのだろうか、先日会社整理となった店頭、テスコンの場合も決算資料を見るだけで、利益に対して売掛金が多いことや短期借入金が多く、子会社や取引先に商品を無理やりはめ込み、その代金をツケにする、粉飾とは言えないまでも余り適切でない状況であった事は十分指摘可能であったと思われる。

ico_hand.gif (123 バイト)こうした不透明な状況に対する自己反省や、国際会計基準の導入に伴う状況の変化が今回の公認会計士協会広告キャンペーンの背景にあると思われる。最近は企業の作成した決算に対して、不適切コメントを付けるケースも出るなど過去の馴れ合い関係を払拭する動きも徐々に増加している。今回の50周年キャンペーンを機に企業と監査法人の関係がさらに厳格化し、一般の投資家が安心して投資できるようになってもらいたいものだ。キャンペーン広告にも書いてある、『あなたは、公認会計士を信じますか?』と言う質問に『信じてたのに』なんて事が起きないように願いたい。

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筆者
歩留虎(ポルコ)

某証券会社勤務のベテラン証券マン。海外駐在長く外国株・為替に明るい。関西出身で当然お笑い系。

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コーナー説明
グローバルなセンス溢れる「あんな話こんな話」を随時。
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BackNumber
10月号  
最新号  
   
   
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