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99/1/20(水) a 世界再編の蚊帳の外

ico_hand.gif (123 バイト)年明け早々、日産自動車に対する海外資本の出資の噂に関する報道が絶えない。世界一の自動車王国である米国さえ自動車メーカーはビッグ・スリーと呼ばれた三社しか無かったのに、そのビッグスリーの一角であったクライスラーでさえドイツのダイムラー社に合併されてしまい、純粋な米国自動車メーカーはたった二社になってしまった。一方、日本国内に目を向けるとトヨタ、日産、ホンダ、三菱、ダイハツ、富士重工、スズキ、これにフォードの子会社となったマツダなど上場企業だけでも軽く五指に余る状況となっている。限られた市場の中でこれだけの企業が氾濫していては輸出に活路を見出すしか無いのは物の道理で、こうした輸出偏重の結果が1995年の大幅な円高を呼ぶ結果となり、結局は自らを苦しめる事となってしまった。

バブル期には競って海外企業の買収に走った日本の大手企業も結果的にことごとく失敗、まともに成功したと言えるのはブリジストンのファイアストーン買収くらいで、ソニーピクチャーズの成功も極最近の話だ。こうした数多くの失敗と円安、国内不況などで日本企業の国際的再編が殆ど行われない間に欧米の国際企業間では大幅な再編が進み、日本は完全に蚊帳の外に置かれてしまった。

自動車業界や金融業界はその最たるもので、自動車業界で今のまま生き残れるのはトヨタくらいのもので他は何らかの合併や提携無しには国際社会で生き残って行くのは困難であろう。また、金融界に至ってはさらにひどいと思われ、それなりに特徴のある自動車メーカーに比べ、以前このコーナーに書いた様に全くの『金太郎飴』状態の金融機関が多い状態では証券2社、銀行5行、生保5社あたりでも多いくらいだろう。

過去数年間、米国、欧州での企業間合併は過去の類を見ない規模で進んだ。それも強者同士による最強連合的な合併が相次ぎ、数多くの世界最強、最大企業を生むようなものが多く見られた。一方、日本国内においても数多くの合併劇が見られたものの、どちらかと言えば救済合併など後ろ向きな物が多く、世界の流れとは完全に水を開けられてしまったようだ。

日産が簡単に外国企業の傘下入りするとは思えないが、こうした国際規模の提携や合併に日本企業が参加できる様にならないと日本国内での企業淘汰も進まず、国内の景気回復も進まないだろう。外からは中身が分りにくく、財務情報の信頼性に欠ける日本企業を外国企業が買収するのを期待するのは非常に難しいが、海外企業にとって買収する魅力がある企業が出てくれば日本の株式市場にも活気が戻ってくるだろう、一日も早く日本にそうした日が訪れる事を期待したい。


99/1/17(日) a グッバイ・ジョーダン

ico_hand.gif (123 バイト)ブラジル危機再燃で波乱となった先週の米国市場だが、そのニュース以上に米国国民にとってショックだったと思われるのがマイケル・ジョーダンの引退報道だ。長引いたストライキもようやく終結、短縮ながらもシーズン開始の決まったばかりのNBA関係者にとっては勿論、ヒーロー待望論の強い米国民にとってヒーロー中のヒーローとも言うべきジョーダンの引退は大きな悲しみであったに違いない。

経済誌『フォーチュン』の試算ではジョーダンがブルズ入団以来NBAにもたらした経済効果は通算で1兆1500億円を超えるものと言われている。一方、株式市場で最もジョーダンの恩恵を受けた企業は言う迄もなく、総合スポーツ用品メーカーのナイキ社である事は誰も否定出来ないだろう。マイケル・ジョーダンと言う不世出のスーパースターであり広告塔と出会った事でナイキは急発展を遂げた。仮にマイケル・ジョーダンとナイキの組み合わせが無ければ単なるスポーツ・シューズにプレミアムが付くほどに人気になることは無かったと思われる。こうしたナイキのイメージ戦略に刺激されアディダスフィラなども競って大物プロスポーツプレイヤーを広告塔として契約するほか、チームスポンサー契約も結んだものの、ジョーダンを上回る宣伝効果を示すものは出て来ていない。ナイキ自身にとってもジョーダンを超える広告塔となる人物として期待されたタイガー・ウッズでさえ自身の成績伸び悩みもあって期待ほどの効果を示せないでいる。

ジョーダンの引退そのものが株式市場そのものに影響を与える可能性は非常に少ないけれど、一人の天才的なスポーツ選手の活躍によってそのスポンサー企業の業績内容を一変させる事もある、こうした事実を初めて実証してくれたのがマイケル・ジョーダンその人だ。今後彼ほど一つの企業の業績を左右するようなスポーツ選手は二度と出ないかも知れない。一度は引退、復帰した彼だが年齢から考えて再度の復帰を期待するのは難しく、二度とそのプレーを見る事は出来ないだろう。だが、そのプレーを我々が忘れる事も決して無いだろう。グッバイ・ジョーダン、夢をありがとう。


99/1/5(火) a 大バーゲンセール

ico_hand.gif (123 バイト)消費税還元セールなどの謳い文句に当初は御上からクレームが付き危ぶまれた大手スーパーを中心とするディスカウントセールも消費者の支持を集めた事もあって、期間限定のはずがディスカウント幅を拡大しつつ継続されている。そのお陰か不況の最中の年末商戦は比較的好調に推移した様だし、閉店セールを実施している東急日本橋店では連日大盛況となっている様だ。状況は異なるが12月のパソコン店頭販売も過去最高水準を記録したらしいし、消費不況の中とは言え真に買う価値のあるものや、消費意欲をそそる工夫さえあれば、わざわざ御上から商品券など貰わなくとも消費者の購買意欲をくすぐる事は可能ならしい。

話変わって株式市場、こちらも大発会から大幅バーゲンセールを開催したものの、消費者【投資家】は完全にそっぽを向けている、と言うよりよりもそっぽを向けられた結果が株価の大幅安となり結果的に大幅バーゲンセールの様な状況になってしまったと言えるかもしれない。

最近はPCやオーディオ製品を中心にオープン価格の物が殆どとなり、何割引等と言う表現が使えなくなってしまい結果的にその価格が安いのか高いのかは他の店の同じ商品と比べて見るしか分からなくなってしまった。昔は6割とか、8割とかとんでも無い割引価格で人を呼び寄せる店があったものだが『定価』と言う概念が希薄になってしまった現在では如何に顧客を惹きつけるかはそのメーカーや販売店の価格設定の巧拙によるところが大きいと思われる。

一方株価の場合、元々定価などと言うものが存在するはずもなくその価値を決定するのは、その企業の経済価値、平たく言えば企業利益や企業資産、それに需給面や人気などの要素が決定要因であると言えよう。そういう観点からすると、今の株式市場は決してバーゲンセールなどでは無く、価格は安くなったものの引き続きフェアバリューには程遠い割高な市場である可能性も否定できない。株価の価格設定は消費財と異なり人が人為的に決める事は出来ない、公的資金を使ったPKOなどと言うものも市場の絶対的な流れには決して勝てないし、人為的に形成された株価など言うものは存在し得ないものなのだ。

価格の低下は株価に限らず消費者あるいは投資家にとって購買意欲をそそる一つの要因であるのは事実だ。しかし、価格の低下は必ずしも実際に投資価値を高めるとは限らないのは過去数年間に倒産した多くの企業の株価が証明している。消費財の価格低下は歓迎すべき事だが株価の低下はその原因にもよるが余り歓迎される物ではない。もっとも消費財の価格低下とて度を超した価格低下は企業の利益を圧迫する結果となり、経済全体にとってマイナスとなる可能性も否定できない。真のバーゲンセールは大歓迎だが底無しのデフレ地獄だけは勘弁願いたい。株式市場もフェアバリューに近づく真のバーゲンセールと言える日がやって来る日が近いことを祈りたい。


98/12/28(月) a インターネット・バブル

ico_hand.gif (123 バイト)米国のインターネット関連株の動きを見ていると如何にも日本のバブル時代を思い起こさせる。バブル時代の日本株は目先の収益や含み資産などだけでは株価の正当性を証明出来なくなってしまい、その最終課程においてはQレシオなどを持ち出す事でその含み資産の将来価値まで持ち出し、60年先の利益を持ち出す事でようやく株価に理屈付けをしていた。

赤字企業の多い新興インターネット関連企業群を買い上げるには元々他の成熟企業群を買うのとは違う投資基準が必要だった。利益の無い企業の場合、通常の投資基準となる株価収益率やROEなどが使えないために一株あたり売上高に対する株価倍率を使ったりしていたものだ。成熟企業が多く、本業での利益成長が見込みづらいバブル時の日本企業群と比較して将来大きな成長の見込めるインターネット関連企業を同じ様な基準で見る必要は無いのは十分理解出来るし、含み資産の将来価値を株価に反映させる方法に比べて将来の利益成長を株価に反映させる方が正しい株価の判断を示しているとは思う。こうした状況は十分理解し得るのだが、黒字化間もないヤフーや、創業以来一度も期間収益が黒字化した事のないアマゾン・ドット・コムの高株価を見ていると、バブル時代を思い起こさずにはいられない。

当カブコーQ&Aコーナーに仕手株に関する質問と回答が載っていた、その中に仕手株に関する定義的なコメントも寄せられている。その中に利益の裏付けの無い株が異常に上昇したりする場合を仕手株の一つの例として上げられていた、その観点からすると現状のインターネット関連株の動きは正に仕手株に該当するのだが、実際には多くのアナリストが強気を継続しており、この点では成長株としての認識の方が強い様に見える。

インターネット関連の成長性は全く否定する気も無いし、幾つかの現在割高に見える株価が将来正当な株価となることも決して否定しない。しかしながら瞬く間に株価が三倍になったかと思ったら一日で株価が三割も下がるユービットなどの動きを見ているとバブルで無いとはとても言い切れない気がする。以前このコーナーにも書いたがインターネットは非常に消長の激しい世界だ。急成長を遂げたのも束の間、アッという間に消え去る事となったネットスケープの例を見るまでも無く、2年後のネット社会の勝者を予測するのは不可能に近い。こうした状況での投資手法は本来、分散投資で広く浅くが常套手段なのだが、現在の株価を見ると、とてもじゃないが幅広い投資をすることは不可能と言える。

今こうして割高に見えるインターネット関連株への投資が果たして真の成長株投資だったのか、結局は単なる仕手株投資だったのかの答えは二年もすればはっきり出ると思われる。果たしてその時アマゾンの利益水準はどの位あるのだろうか、株価はどの程度の水準にあるのだろうか、現在の株価の正当性を証明する企業はどの位あるのだろうか。二年後が本当に楽しみな気がする。


98/12/19(土) a 頑張れ、ニッポンのベンチャー企業

ico_hand.gif (123 バイト)オービックの東証公開人気に沸いた先週の株式市場、時間は掛かったものの投資家の人気を集める企業がようやく陽の目を見た良い週であったと思えた。ところがどっこい、錦鯉、週末の日経新聞によると一時はPC業界の風雲児でニッポンのデルコンになるかと期待されたアキアがカシオ計算機の傘下に入るとの記事が載っているではないか、最近余り話題にならず心配してたら、やっぱりこんな事になってしまっていたいたんですな。大昔話題になり結局は東芝傘下になってしまったPCのソードや、最近では空気清浄機を世に広めたとも言えるカンキョーが潰れた記事が余りにも小さく載っていたのに悲しい思いをしたばかりなのに、またニッポン期待のベンチャー企業がいともあっさりと消えてしまうなんて寂しいことだろう。

米国ナスダック市場では銘柄による選別色は強まったものの、今年もインターネット関連株を中心に数多くの新規公開株が人気を集め、多くの創業者やベンチャーキャピタリスト達に巨額の資金もたらした。もちろんそうした成功企業が多くあった一方で、一時はシスコ・システムズをも脅かすと評判をとり、私自身も昨夏会社訪問したばかりのイプシロン社が公開を待たず身売りをするなど、日本と同様多くのベンチャーが消えていったのも事実だ。しかしながら、米国ではインテルマイクロソフトなどその国を代表する企業でさえ会社創立僅か10年前後、逆に言えば僅か10年で企業が大幅に成長し、株主にも莫大な利益をもたらしたのに対し、日本では旧財閥系や大企業傘下以外の企業でこうした成功を収めたのは戦後と言う長期間に広げてもソニー京セラなどごく一握りの企業に過ぎない。

米国では前述の様に成功を収めた経営者が一つの企業の成功に終わる事無く、企業経営が軌道に乗れば後進に道を委ね、自らは新たな事業を立ち上げる、若しくは成功で得た資金を新たなベンチャー企業化に出資しエンゼルとなる場合が非常に多い。日本でも京セラの稲盛氏などがエンゼルとして有名だが残念ながらその数はごく数えるほどしか見られない。ベンチャーキャピタルに関しても日米格差は大きく、米国ではコンパックなどを始め多くの企業を手がけ、彼らが出資しているだけで人気の出るクライナーパーキンなど数多くのVCがあるのに対し、日本では野村子会社のジャフコを始めとする証券、銀行系以外にそれらしきものは殆ど見られない。

また、以前にも書いたが米国の多くのVCが融資では無く出資するのに対し、日本の場合出資形式は取るものの実際には融資に近い形の物が多いか、単なる融資に留まる物が多い様に思える。もともと創業間も無い企業に自己資金など余り在る訳が無く、それを補うための出資で自己資本を増やしてやるのがVCのあるべき姿なのだが、土地本位制に慣らされ、土地以外の担保価値を審査する能力の無い日本の多くの銀行系VCは担保の無いベンチャーには融資さえする勇気も無く、仮に融資を実施しても投資先企業の負債比率を高めて逆に多くの有望企業を潰す原因となってきた。

こうしたベンチャー不毛が起こる原因のもうひとつの大きな要因は日本の店頭公開への厳しさで、公開後の粉飾などには異常に甘い反面、新規公開へのハードルは異常に高くなっている。こうした問題を解決するため開設された所謂第二店頭市場も投資家の自己責任が徹底せずリスク判断の出来ない投資家、証券マンの多い状況では殆どその機能を果たせない状況となっている。公開へのハードルの高さは逆に公開後の投資効率の悪さへと繋がってしまう、これは公開までに時間がかかりすぎるために会社が本当に成長する時期に公開出来ず、公開前にピークを迎えてしまう場合があるからで、アトラスジャストがもっと早く公開していれば会社内容は現在より余程改善されていただろうし、投資家にとっても大きな利益をもたらしていたと思われる。

過去の経済対策の中にも規制緩和や、ベンチャー投資への優遇などが盛り込まれてはいるが実際には殆ど効果が出ていない。不必要な銀行が潰れるのはかまわないが、日本の将来を支える可能性もある有望企業が日の目を見ないままに消え去るのは余りに悲しい。良く知られている様にMPUも元はインテルでは無く日本企業の開発した技術がもととなっている、ひょっとしたらインテルの覇権は米国では無く日本にあった可能性もあったのだ。失敗は成功の母である。ニッポンも何時までも失敗にこだわっていず、大きな成功を収める第二のソニー・京セラが登場して欲しいものだ、頑張れニッポン、頑張れニッポンのベンチャー企業家達!!!

(弁之助注記)店頭市場改革で店頭特則市場(所謂第二店頭市場)は店頭本則市場に統合されました。ATLシステムズ・アクモス・マスターネットは既に店頭マーケットメイク銘柄(野村・一吉)です。


98/12/13(日) a 無責任経営のつけ

ico_hand.gif (123 バイト)長銀に続いて日債銀も一時な的公的管理下に入る事が決まった、金融監督庁の調査によって実質上の債務超過と認識されたためだ。一部新聞報道によるとご多分に漏れず、実質上の粉飾決算をして今まで生き長らえて来ていたようだ。以前から指摘している様に、日本の監査制度はどうしてここまで無力なんだろうとあらためて認識させる出来事だった。

今の日本のシステムだと回収見込みの無い債権であっても銀行が追い貸しを実施し、金利が支払われている限り不良債権として認識されないし、ペーパー・カンパニーなどを使った迂回融資などをしていると公認会計士が不良債権などを指摘することは殆ど皆無に等しい状況にあるようだ。こうして返る見込みの無い不良債権を自分達の地位や収入を維持するために隠し続ける銀行や企業の経営者の根性はどれほど腐った物なのだろう。

日債銀に関しては既に公的資金を導入していた訳で、その時点で債務超過であった事が
今回初めて明らかになったのは、公的資金導入の安易さを浮き彫りにさせた。大規模公的資金導入の第一号とも言うべきみどり銀行は最近になって再度の債務超過状態が明らかになった、それも僅か半年間に認定不良債権額が10倍にも膨れ上がる異常な状況であった。

私は公的資金の導入には決して反対ではない、むしろ金融システムの正常化を早期化するために公的資金は無くてはならないものだと考えている。しかしながら、実際に公的資金を導入した金融機関の状況を見ると余りにお粗末であり、とても金融システム安定化に繋がっているとは言い難い。前回の『金太郎飴』にも書いた様に日本企業、特に金融機関は特徴の無い所が殆どである、逆に言えばどれが潰れても代わりに困る事は無いし、そんなに沢山の銀行が必要とも思えない。こうした存在価値の無い銀行を全て助けることが果たして必要なのだろうか、本当に必要な銀行を特定するのは確かに難しいし、自分の使っている銀行が潰れることで被害を被る人にとっては無駄な銀行も必要と写るかも知れない。

今を時めくシティ・コープも僅か数年前には存亡の危機に瀕する状況に直面した時期があった。こうした危機に直面した時、ジョン・リードと言う有能な経営者が登場、大胆なリストラを実施するとともに収益分野に重点投資する事で危機を脱し現在の地位を確保した。健全な企業であれば破綻に至る前にこうした経営改善が図られ、適切な処置が施されれば致命傷に至る前に健康な状態に戻すことが可能だ。

ところが日本企業の場合、昏睡状態になるまで放置し、点滴や痛み止めだけの投入で生
き永らえさすような状況になってしまう。日本の銀行のリストラなどを見ると人員削減や経費削減、海外撤収など画一的、うしろむきのものばかりで次の収益を何処に求めるかを明確に示すものは殆ど見られない。このような無責任な経営が続く限り日本の株式市場に未来は無いかも知れない、こうした状況を改善するためにも社外監査役の充実や監査制度の強化など社外の声を経営に反映させる制度の早期導入を図ってもらいたいものだ。


98/12/10(木) a 金太郎飴経営〜勝者と敗者

ico_hand.gif (123 バイト)12月1日から始まった日本板ビッグ・バン第二段を受け、それに絡む色々なニュースが新聞を賑わせている。東京海上と米チャールズ・シュワブの提携や、銀行の投信窓販開始などがその代表例だが、シュワブの日本本格進出はパートナーが東京海上であることもあり非常に興味をそそられるニュースであった。

日経新聞の記事などを読むと如何にもシュワブがディスカウント・ブローカーの代表の様に書いてある、確かにシュワブがディスカウント・ブローカーである事に間違いは無いのだが、手数料だけを見た場合シュワブより安い手数料体系の証券会社は山ほどあり、インターネット取引においてシュワブは手
数料が高い方の証券会社でさえある。元々ディスカウント・ブローカーと言えば情報などを提供せず、単に手数料の安さで顧客から注文を獲得すると言う形態であったのだが、手数料競争の行き着く先は自ずから限界がある。こうした単なる手数料競争から抜け出しサービスに付加価値を与えて成功したのがシュワブ社成功の秘訣なのだ。同社は早い時期に投資信託の重要性と成長性に注目、投資信託を重点販売商品として顧客向けに高パフォーマンス商品を取り揃えると共に、従来より安い手数料で販売、投信のデパートメント・ストアーとして地位を確保し今日の地位を築くまでに至った。

米国ではディスカウント・ブローカーでもこうした鮮明な色分けがあるぐらいだから、大手証券や、銀行なども各社別の個性や、得意分野無しでは到底業界の激しい生存競争では生き残っていけない。日本でも有名なモルガン・スタンレーソロモン・スミス・バーニーゴールドマン・サックスは機関投資家向け、メリル・リンチは大口個人向け、ベア・スターンズは保管銀行業務や中南米物債券販売など独自の強みを武器に他社との争いを繰り広げている。

一方、日本の証券や銀行を見ても何処も特徴を見出せない場合の方が多い、証券会社は全て野村證券を目指し、挫折し、当の野村も海外に傷つき国内個人市場に回帰すると言う。個人資産が対外投資を増やそうとしている最中、輸出業務しか頭に無かった多くの証券会社や銀行が海外から撤退、国内に資本を集中投下しようとしている姿は国内での成功を背景に日本に参入して来る米国系金融機関の動きと好対照であり、失敗者と成功者のコントラストを見るようで非常に面白い。

自由競争に揉まれ修羅場を潜って来た海外勢と、護送船団方式にまもられ太平をむさぼって来た日本の金融機関とでは勝ち負けははっきりしているのだが、今までの十人一様な特徴の無い経営から、自社の特徴をはっきり示せるような金融機関が出てくれば日本も少しはよくなる気がする、一日も早く『金太郎飴経営』とはおさらばしてもらいたいものだ。


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筆者
歩留虎(ポルコ)

某証券会社勤務のベテラン証券マン。海外駐在長く外国株・為替に明るい。関西出身で当然お笑い系。

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コーナー説明
グローバルなセンス溢れる「あんな話こんな話」を随時。
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BackNumber
10月号  
11月号  
最新号  
   
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